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今回は、山鹿市鹿本町の梶屋地区にある「 下梶屋神社 / 綿津見神社(八竜宮) 」をご紹介します。

場所は、こちらです。

こちらには、江戸時代の文化年間(1804~1817)、地元の名工であった甚三がある晩、竜に襲われる夢をヒントに彫り上げたといわれる『飛竜の彫刻』があります。

叉、この彫刻の形相は人に迫るものがあり、『雲を呼ぶ竜』の伝説も言い伝えられてます、お宮から抜け出さぬよう、天井に釘でしっかりと打ち付けてあるそうです。

では、神社の紹介いたします。

○ 祭神は、「 綿津見神 」・「 天御中主神 」です。
○ 由緒は、「 宝徳元年(1449年)砦村寺町神社の分社として勧請の由、昭和21年6月宗教法人
同27年11月新法人切替、前田神社を合併、飛地境内神社となす。」
○ 「鹿本郡誌」にて、
南朝後村上天皇の正平年間(1346-1369)勧請、宝暦八戌寅年(1758)正月祥日大施主、
古佐井藤左衛門、同太平次奉建。
安政三丙辰(1856)九月十七日祭主石川淡路、藤原眞竜八竜宮神殿一宇遷移明治二十九年(1896)
六月拝殿の屋根を瓦葺に変更。昭和二十八年(1953)六月二六日大洪水により、神殿拝殿全潰につき
同年八月八日部落中心鎮座の飛地境内神社たりし前田神社を合併遷移。

※「鹿本町史より引用」

さて、写真にてご紹介します。

鳥居は二基あり、川の堤防を向いた方と、右手公民館の前にあります。


鳥居をくぐり、楼門に入ると楼門内には、狛犬と随人があり、通常は外を向いていると思いますが、こちらの楼門内の狛犬と随人は、神殿側を向いています。
この記事の冒頭でご紹介しました、拝殿の次の殿の天井に、飛竜の彫刻があるため、その竜が出て悪さをしないように、見張っているのかもしてませんね。

楼門を抜けると、左手に一基の祠と猿田彦大神が祀られています。

そして、天井に張り付けられた飛竜の彫刻。

この迫力はものすごいですね!!

さて、冒頭でも紹介しましたが、この龍の彫刻にまつわる「雲を呼ぶ竜」の昔話がありますので、ご紹介しますね。

◎ 雲を呼ぶ竜

下梶屋・八竜宮は、昭和28年の大洪水で大破し、その後河川工事などによって遷移していますが、
以前は、内田川に望むうっそうたる老杉に囲まれた神域で、「わだつみの神」 「あめのみなかぬしの命」
を祀る社で、古来より信仰が厚く、今もなお福岡・熊本方面より月参りの人の姿を見かけている。

さて、雲を呼ぶ竜の言い伝えですが、文化の頃(1804-1817)袋田部落の大工・甚三は名工の誉が髙かったが、
どうかして立派な作品を後世に残したいと考え、この八竜宮に参籠して日夜祈願をこめていたが、或る夜
不思議にも恐ろしい大蛇に襲われる夢を見た。ハッと夢から覚めた甚三は、油汗をびっしょりかいていた。

「これこそ、神の啓示であろう」と、一心になって竜の構図をまとめ、日夜を分たず精進したので、日ならず
 して見事な彫刻を八竜宮に納める事が出来ました。
 併し、甚三は会心の作を残して故郷を去り、消息を絶ってしまいました。

 それから何年かののち、社殿下の竹の花淵に水浴びに行くと、急に竜巻が起こり、黒雲が社殿の森をつつみ
 恐ろしい天候に急変するので、誰でも気味悪くなっていたがそのうち誰云うとなく、
「竹の花淵には、大蛇が住んでいる」とのうわさが経ちました。

 ところが或る日、魚釣りに行った人が、よく釣れないので、よくよく水の中をのぞくと、これは亦、大蛇が
 とぐろを巻き、人の気配に水底深く沈んだのを見て、一目散に逃げかえり、大評判となりました。

 そこで、この大蛇はどこに住んでいるのかと詮議が重ねられたが、どうも天気が良いのに社殿の板の間が
 濡れているのがおかしい。ひょっとすると、天井の竜ではないかと、それから恐ろしさに宮を参拝する人も
 少なくなった。そこで、明治36年、区長は村寄りで、天井の竜を釘付けにし、角を折って現在の金具の角
 に取り替え、大祓いを行ったので、その後は怪しい話を聞かなくなったそうです。

と、いうお話が言い伝えられています。

明治36年・・・結構最近ですね。

しかし、この龍の彫刻の迫力であればそのような逸話がいまれても仕方がないほどのものですね。

この八竜宮ですが、現在の場所から堤防の道路を、水辺プラザ方面へ移動しますと、道路の左手下に、「八竜宮の跡」を示す碑が建っています。

先の、昔話の中で、「内田川に望むうっそうたる老杉に囲まれた神域」とありました。
以前は、そのような神秘的な雰囲気の場所だったのかもしれませんね。

では、では~~。


※この記事は、以下の書籍を参考に書いています。
(山鹿双書四・旧山鹿郡三十三か所札所巡り・児玉徳夫講演録より先生講演録)
(山鹿市の指定文化財(改訂版)~ふるさとの文化遺産~)


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