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日岡山の天狗と精女 [ 鹿本町の伝説話 ]
今日は、山鹿市鹿本町に伝わるむかし話をひとつ紹介します。
● 日岡山の天狗と精女
日ノ岡に、ある日大雨が降って一時は、あのなだらかな美しい山肌が崩れるのではないか思われるほどであった。
ようやく大雨も小降りになったと思う頃、日ノ岡山のどこからともなく、笛や笙や太鼓の奏楽の音が聞こえてきました。里の人達は、「これは確かに日ノ岡に住む天狗の仕業に違いない。」と考えました。
大雨が降ると、必ずこの山に奏楽の音がしていたのです。
大雨の為に、日ノ岡山が万一崩れたら、天狗の住むところがなくなるので、それを心配した天狗が、小天狗どもに言いつけて、楽を奏でさせると不思議や、さしもの大雨が収まるので、それに喜んだ天狗は、それ以来大雨が降ると奏楽をさせて、雨を小降りにさせていたのを、里人は大雨が起こると、不思議に奏楽の音が聞こえるといわれるようになったといいます。
叉、『猪の窪』というところに、何時の頃とも知らずの一つの古墳があった。
古墳には、墓石もなくただ山石が一、二個あるばかりであった。
宝暦の初め頃、ある農夫が誤って、その墳墓を崩してしまいました。そこには、石棺が現れてその中には、年齢で十六、七歳の大層美しいきれいな衣服をまとって、すやすやと静かに眠っているが、いまにも目を開けて言葉をかけそうな美女の生々しい姿に農夫は驚き、一時は気を失いかけたが、農夫は、
「これは大変なことになった。しかし、そのままにして逃げて家に戻ったら、、必ず石棺に眠っている若い美女の霊が現れて、元の通りに丁寧に葬ってくれというに違いない。それを拒んでしまったら、自分や子孫だけでなく、村人達皆に、災いが起こるに違いない」
と思った農夫は、恐る恐る元の通りに石棺のふたをして、古墳に納めたという事であった。里人たちの間では、古い古墳の石棺の中のむくろが、いま葬ったかのように五体完全に、顔にはきれいに化粧をほどこし、きれいな着物をまとった美しい娘の姿そのままにしているのに驚き、
「これは確かに日ノ岡の精に違いない」と、誰云うともなく、それ以来その古墳には手を触れず、大切に供養したという事です。
と、このような昔話しがあったんですね~。
日ノ岡の精、そして天狗の伝説。
やはり、山は神秘的で、昔の方々は大切にされていたのでしょうね~。
ではでは~~。
※この昔話は、「 鹿本町史 上巻 」より引用していますが、お話の言い回しなどを少し読みやすいように変えている部分があります。
ご了承ください。
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